平成21年2月14日
農業コラボのすすめ
行き過ぎた市場原理主義が弾け、百年に一度と称する大不況を招いた結果、失業率が急上昇している。
アメリカ型大量生産大量消費に豊かさの価値を見出し、弱肉強食の自由競争を追求してきた結果がこうで
ある。確かに物質的豊かさは充分享受できたが、農業は衰退、自給率は先進国中最低となり、環境は破棄
され、伝統的な価値観、美徳等まで失いかかっている。
石油ショック、バブル崩壊等、何度も修正するチャンスはあったのに、アメリカ型経済価値観を金科玉条
とし、「消費は美徳、金さえあれば何でも買える」、という価値観を支配的にしてしまった。
四十数年前、筆者が小学生の頃、給食時には、作ってくれた農家の人々に感謝して、ありがたくいたただ
き、残したら申し訳ないという躾をしてもらった。高度成長の真っ只中の時代ではあったが、この頃には、誰
にでも親戚知己に必ず農家があり、そこで働く人の姿が身近にイメージできたために、心から感謝して食べ
させていただいた記憶がある。
ところが、身近に農家がない今、子供にとってイメージは難しく、感謝の心は育ち難い。逆に、金を出して
買っているのだから、感謝しろ、みたいな価値観が支配的になっている。こんなところからも伝統的美徳は
スポイルされていった。
今回の大不況は、天からの最終警鐘。今こそ農業復興をするチャンスである。第一次産業への就業を推進
すべきである。そうすれば、今、日本がかかえる大きな問題の二つ、自給率の向上、道徳観の滋養がともに
解決できる方向に向かうと思うのは筆者だけであろうか。
ただし、農業のみに自己完結の成果を求めるのは重労働、低所得等を考えた場合、無理がある。そこで、
製造業は地元生産者と契約栽培したものを原材料とする、小売業は地産地消を推進していく等、負担増は
我慢して農業が事業として成立できる協力を全県コラボで始めようではないか。時代もこんな商品と消費スタ
イルを求めている。百年の大計のために、ウイ・キャン・チェンジ。 (孝)
2013-11-30 13:18:06
麺声人語(徳島新聞経済サロン執筆原稿)
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